秋の味覚といえば「きのこ」。
しかしハウス栽培のおかげで、私たちは季節を問わず、通年きのこを楽しむことができます。
また、自宅できのこが栽培できるキットも販売されており、おうちできのこ栽培を楽しむ方が増えています。
今回はきのこの中でも、いろいろな料理に使え、精進料理には欠かせないとされている「しいたけ」について紹介します。
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干し椎茸と生しいたけの違いは?
しいたけの名前の由来は「椎(しい)の木」から生えることから「椎茸」と呼ばれるそうです。
生のしいたけ、干し椎茸、どちらも同じ椎茸ですが何がちがうのでしょうか。
生しいたけについて
「しいたけが食べたい」と思ったら、多くの方は生のしいたけを購入するのではないのでしょうか。
スーパーで見かける生しいたけのほとんどが「菌床栽培」といって、ハウス栽培されているものです。
菌床栽培は、3~6か月のサイクルで収穫でき、1年を通して安定して収穫ができます。
菌床栽培のほかに「原木栽培」がありますが、管理が難しく、収穫まで2年ほどかかるため高値で売られています。
原木しいたけは、肉厚で香りがよく、味が濃いのが特徴です。
しいたけの生産量日本一位は徳島県、次いで北海道、岩手県と続きます。
干し椎茸について
読んで字のごとく、しいたけを干したものが「干し椎茸」です。
干すことで、しいたけの水分量が抜け、栄養価や旨味、香りがぎゅっと凝縮します。
干し椎茸の生産量日本一位は、原木栽培に欠かせないクヌギの木がとても豊富な大分県です。
干し椎茸には種類があります。
- 冬菇(どんこ)…カサが開く前に収穫され、肉厚で丸く出汁をたっぷり吸うことができ、中華料理に欠かせない。高値である。
- 香菇(こうこ)…冬菇と香信の中間のサイズで、見栄え・歯ごたえの両方を兼ね備えている。
- 香信(こうしん)…全体的に傘が平らに開いていて厚みがない。短時間で水で戻せるため、幅広く使える。
また、料理に手軽に使えるようにスライスされている干し椎茸が売られています。
これはしいたけをスライスしてから乾燥させたもので、料理を時短できるため重宝されています。
干し椎茸と生しいたけの栄養価はどちらが高い?
しいたけは、カロリーが低く、ミネラルや食物繊維が豊富です。
菌床栽培と原木栽培のしいたけを比べると、原木栽培のほうがカロリー・食物繊維の含有量が若干多いですがほかの栄養素は大差ありません。
生しいたけと干し椎茸を同じ重さで比べると、水分量がない分、干し椎茸のほうが生しいたけの栄養素の含有量を大きく上回ります。
では、どのような栄養素が含まれているのか詳しく見てみましょう。
食物繊維
しいたけには「不溶性食物繊維」が豊富に含まれています。
不溶性食物繊維は、便のカサを増やして腸の動きを活発にしたり、腸内の善玉菌の餌となっておなかの調子を整えます。
干し椎茸は生しいたけの10倍の食物繊維が含まれています。
ビタミンD
体内のカルシウムを骨や歯に吸着させるために必要不可欠な栄養素です。
骨粗しょう症の予防に効果的です。
干し椎茸は生しいたけの30倍のビタミンDが含まれているといわれています。
これは、しいたけに含まれるエルゴステロールが、日光に当たることでビタミンDに変化するためです。
生のしいたけを食べる前に太陽に1~2時間当てるだけでビタミンDが10倍になるともいわれています。
干し椎茸も、食べる前に太陽に当てるとさらにビタミンDが増えます。
エリタデニン
他のきのこにはなく、しいたけだけに含まれる成分で、血中コレステロールを下げ、血圧を正常に保つ働きをします。
また、血管内で血液が固まるのを防いでくれるので、動脈硬化や高血圧の予防に効果的です。
生しいたけよりも干し椎茸に多く含まれています。
レンチオニン
しいたけに含まれる香味成分です。
生しいたけには含まれず、干し椎茸を水で戻したり、加熱したときに発生します。
血栓症の予防に効果があります。
グアニル酸
しいたけに含まれる旨味成分です。
生しいたけよりも干し椎茸に多く含まれており、干し椎茸を水で戻した際の戻し汁には、グアニル酸が豊富に含まれています。
干し椎茸を戻す際には、ぜひ冷水で長時間かけて戻してください。
温水で戻したものと冷水で戻したものとでは、グアニル酸の量は300倍以上も違うのです。
香りや出汁を楽しむ煮物や茶わん蒸しなどには、ぜひ干し椎茸の戻し汁を使いましょう。
干し椎茸と生しいたけはお互いに代用できる?
調理法別で、生しいたけと干し椎茸はこのように使い分けます。
- 生しいたけ・・・炒め物、煮物、焼き物、揚げ物。
- 干し椎茸・・・・炒め物、煮物、炊き込みご飯。
生しいたけは、すぐに使いたいときや歯切れのよい食感を楽しむ料理に使用します。
ソテーや焼き物、椎茸の肉詰め、お鍋の具材、てんぷらなどは生しいたけがベストでしょう。
一方干し椎茸は、味がしみ込み易く、干し椎茸の旨味成分の相乗効果があるため、じっくり煮込む筑前煮や炊き込みご飯、チラシ寿司の具材(含め煮)など、歯ごたえや香りを楽しむ料理に向いています。
炒め物などは、お互いに代用できないことはありませんが、料理によっては代用が難しいものもあります。
干し椎茸で肉詰めは難しいですし、生しいたけで煮物を作るとどこか味気なく仕上がってしまいます。
美味しい料理を作るために、料理に合ったものを選びたいですね。
干し椎茸と生しいたけの違いは?栄養価はどっちが高い?お互いに代用できる?まとめ
生しいたけと干し椎茸についてご紹介しました。
~生しいたけ~
・歯切れのよい食感や風味を楽しむ料理に。
・水分量が多く傷むのが早い。
・干し椎茸より安価で食べたいときにすぐに食べることができる。
~干し椎茸~
・香りや旨味成分を生かす料理に。
・乾燥しているため長期保存ができる。
・生しいたけよりも栄養価と旨味成分が多く含有されている。
干し椎茸は、生しいたけに比べて、栄養価・保存期間・旨味・価値が上回っています。
戻し汁にも栄養がたっぷりなので、ぜひ戻し汁と一緒に調理してください。
生しいたけは、思い立ったらすぐに調理して食べられる手軽さが魅力です。
生しいたけの軸も食べられますので、薄切りにして炒め物などで一緒に食べてみてください。
歯ごたえが癖になりますよ。
ぜひ、作る料理に合ったしいたけを選んでみてくださいね。
しいたけの賞味期限や保存方法については、こちらにまとめているのであわせて参考にしてください。
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